読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

蓮の国(LotusLand)

近衛秀一の読書感想文が中心のブログ。

感想 カスパー・ヘンダーソン『ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録』

  •  

    ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録

    ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録

     

     

     カスパー・ヘンダーソン著、岸田麻矢訳、X-Knowledge(2014.10月刊)

     ボルヘスの幻獣辞典に触発された著者が、この世に実在する「奇妙な生き物たち」を蒐集していく。
    http://xknowledge-books.jp/ipscs-book/BooksApp;jsessionid=95EE5461160F3EA91B0E09ECC1C21A57?act=book&isbn=9784767818702

     偽史学博士さんのmixi日記で知り、まだ全部読んでないんですが、これが凄い面白いので、先走りのレビューです。
     章ごとに動物を一種類取り上げ、その動物についていろいろ語っていくという形式です。

     ただ「変わった生態の動物がいる」だけではなく、例えばイルカからティモシー・リアリーやジョン・カニンガム・リリーを語りだすのは序の口。ウツボに「第二の口」がある、という新しい科学的トピックスから「エイリアン」の話になり、そして「放射線X」や「ゴジラ」の話になる。ニホンザルの話から「力が支配する競争社会」の話になり、当然マキャベリの話になり、共産主義の話にガラッと変わったかと思ったら、「社会進化論」(社会ダーウィン主義)や優生学の話に…など、サイコロを転がすように話題をポンポン変えていく。まあすごい碩学なんですね、この人。

     面白かったのはニホンザルの項目で、旧ソ連イリヤ・イワノフという科学者が、スターリンの命令で人間と類人猿を掛け合わせた半人半獣を作る、という実験の承認を得たという話。メスのチンパンジーに人間の精子を人工授精したが、失敗に終わったとか。
     この実験で、イワノフは「ヨーロッパ人よりもアフリカ人の方が類人猿に近い」という、今で言えば人種差別的な考えから自分の精液は使わなかったそうですが、めちゃくちゃトンデモないし興味深い話です。
     私なんかはこの辺で「オリバー君」あたりを出せばいいのになあ、とニヤニヤしながら読みましたけど。

     動物好きの方はもちろんですけど、動物から円を描くように広がっていく話がすごく面白いです。