蓮の国(LotusLand)

近衛秀一の読書感想文が中心のブログ。

ホラースポット探訪ナビ(吉田悠軌、学研)

 

  私が愛読している「怪処」(とうもろこしの会編)という同人誌がある。怪しげなオカルト、都市伝説などの情報を散りばめた豪華なカラーの本なのだが、それの編集長である吉田氏が書いた本である。

 怪奇スポット、心霊スポット(本書ではホラースポットと呼称)などと呼ばれる場所が全国には数多存在する。昔話で語られたような場所から、近年、殺人事件が起きた場所まで。

 しかし、それらを紹介する本やネット情報は、「そこが如何に怖いか」のみに集中していたように思う。たいてい夜、そういう場所に訪れて、書かれているのは「不気味」「怖かった」「絶対に行かないでください」などの感想だ(もちろんそれだけではないが)。

 本書は、普通夜に訪れるのがセオリーであるはずのホラースポットを真っ昼間に訪れ、そこがなぜホラースポットとなったのか、という背景や由来を語る。もちろん怪談話も入っているが、背景や由来を耳にすると、もはや怪談などはどうでもよくなってしまっている自分がいる。なぜこの場所は恐れられたのか。なぜ幽霊話が語られたのか。それらを含めた上での「ホラースポット」として紹介しているのだ。

 個人的には猟師たちの信仰の場「白鹿権現」、どこの宗派にも属さないような怪しげな石像が目を引く「修那羅峠」、名前からして禍々しい「首塚大明神」、神道新宗教の成れの果て「白高大神」などが印象に残った。

 吉田氏の行動はただの「好事家」かもしれない。しかし、そこにはある程度の深い道が何本も枝分かれしているように感じる。これを「民俗学だ!」とか「文化人類学だ!」と言うのはあまりにもおおげさだけど。

 また、心霊スポットマニア、廃虚マニアに付きものの危険も合わせて紹介しているのがありがたい。