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蓮の国(LotusLand)

近衛秀一の読書感想文が中心のブログ。

バルテュス展を見て

 東京都美術館で開催されている、「バルテュス展」を見るために上京してきた。

 今までバルテュス澁澤龍彦の本でしか知らなかったし、バルテュスの原稿がある「幻想の画廊から」では、他の画家がとんでもない人ばかりで、それに比べるとバルテュスの絵は地味であった(この中では、という意味)。澁澤本人も「筋違いと思われるかもしれない」と冒頭で言い訳気味に書いている。

 私のバルテュスの絵の印象は、今回の特別展を見た限りでは「静物画のように人物画を描く画家」という感じだ。登場する少女たちはどこか無機質で、表情も憂鬱な感じだったり、どこか遠くを見ていたりする。

 

 良いなあ、と思った絵を羅列すると、「猫たちの王」「夢見るテレーズ」「美しい日々」「決して来ない時」「地中海の猫」「朱色の机と日本の女」。

 「夢見るテレーズ」は、今回の展覧会のメインで使われ、知ってる人も多いとは思う。少女が長椅子に寝転がり、無防備にスカートをはだけてうたた寝をしている、というなんとも幼さというか少女くささがにじみ出ている絵だ。少女から大人の女性へと変わっていく、その場面を切り取ってキャンバスに描く。ムンクも似たようなモチーフを描いているが、バルテュスムンクと違い、冷静というか冷徹というか、かなり無機質に少女を描いている。

 「地中海の猫」は、バルテュスにしては珍しく非現実な作風。もともとレストランのために描かれた絵であり、猫が人間のように椅子に座り、ナイフとフォークで魚を食べようとしている、というもの。  妻が日本人ということで日本好きだったバルテュス。家では和装だったという。その影響がありありと伺える「朱色の机と日本の女」は本邦初公開で、晩年の作品。浮世絵の影響というか、これはもう浮世絵そのもので面白い。