蓮の国(Lotus Land)

いろいろ雑多に書いてます。

書評「ウルトラマンが泣いている」

ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 (講談社現代新書) ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 (講談社現代新書) (2013/06/18) 円谷 英明 商品詳細を見る

 「ウルトラマンが泣いている」(円谷英明、講談社現代新書)を読了。

 著者は円谷英二の孫で、後に円谷プロの六代目社長となった人物。今やパチンコ会社の子会社となってしまった円谷プロ。ついつい、タイでのトラブルなど近年の事件に目が向きがちだが、実はもっと前から種は撒かれていた。「マイティジャック」の失敗、ワンマン社長や役員の会社私物化・・・しかし、著者いわく 、

ウルトラシリーズ最大の問題は、一本筋の通ったコンセプトを守れる人がおらず、時代の流れに翻弄されるがまま、ウルトラマンを過剰に「変身」させてしまったことです。(P.120)

 という。

 ティガ、ダイナ、ガイア、ネクサスなど、平成ウルトラマンの設定がころころ変わったのも、著者は否定的だ。「なぜ、偉大なるマンネリではダメだったのか」と著者は嘆く。M78星雲から来た光の巨人ではダメだったのか?マックス、メビウスでようやく原点回帰を行い、過去の人気怪獣やウルトラ兄弟の再登場といった、過去のファンを取り戻そうともがくが、もはや、かつての力は取り戻すことができなかった。

 

 本書は暴露本の一面も持っている。

 

 円谷プロ二代目社長、円谷皐氏の横暴やワンマンぶり、その他役員による会社の私物化、ミス隠し、そしてトラブルにより「うたかたの夢」と消えてしまった中国進出を、怒りを込めて書いている。そうとう恨み辛みがあったのだろう。

 

 金城哲夫を「かねしろ てつお」とルビをつける(編集者も気づかなかったのだろうか)など、一部の事実誤認もあるが、「ウルトラマン」を生み出した円谷プロの「今」を知る上で貴重な本だと思う。