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蓮の国(LotusLand)

近衛秀一の読書感想文が中心のブログ。

書評『ぼくらの昭和オカルト大百科』

ぼくらの昭和オカルト大百科 (大空ポケット文庫)ぼくらの昭和オカルト大百科 (大空ポケット文庫) (2012/11/14) 初見健一 商品詳細を見る
 『ぼくらの昭和オカルト大百科』(初見健一、大空ポケット文庫)読了。表紙もパロディになっていていい感じである。  1970年代を「イカレた時代」にした立役者、オカルト。本書は、70年代のオカルトブームを懐かしみ、そして分析した本である。著者は、1973年を『日本沈没』公開、そして五島勉の『ノストラダムスの大予言』発売、という2大要素があったことから「オカルト元年」と位置づけた。  何せ仮面ライダーでも「イカレた時代」の影響があったのだ。74年に放映された「仮面ライダーX」では、「超能力少女をさらえ」「ゴッドラダムスの大予言」などというサブタイトルがあった。  終末ブーム、UFO、UMA、超能力、心霊現象…。「ノストラダムス」「コンタクティー」「ネッシー」「ユリ・ゲラー」「心霊写真」「コックリさん」「口裂け女」といった、奇妙な現象たちはこの時期に日本でブームとなった。今はどうだろう?肯定派の人たちにとっても懐疑派の人たちにとっても、ある1つの観念があるのではないだろうか。  それは一種の「懐かしさ」ではないかと思う。  70年代、小中学生だった人たちは40歳を超えていると思うが、そういう人たちにとってこれらの小道具の名前を見た時というのは、子供の頃のおもちゃ箱を開けてしまった感覚だろう。「ああいうのにわけも分からず熱中していたよね」…まるで『思い出のアルバム』である。その後はこう続く。「でも、今は忙しいし…」と。肯定派だった人たちも、40代を過ぎればオカルトなどに興味を持てなくなってしまうことが多いのではないだろうか。  懐疑派だった人たちも、また「懐かしさ」を覚える。私なんかがそうなのだけど(おっと、70年代生まれではないよ)、「ああ、昔は信じていたな」という感覚だ。  「レトロブーム」という言葉が流行ったことがあったが、「レトロ・オカルト」というのもあるんじゃないだろうか。  本書は、初見氏の幼い頃の思い出と一緒に、「オカルトブーム」の勃興、そしてその舞台裏、肯定派・懐疑派の流れ、そしてブームの終焉、と、軽い文体でそれらが語られていく。  オカルトとは、ラテン語で「隠されたもの」という単語が元になっているが、その「隠されたもの」の裏に何があったのか。なぜ「隠された」のか。著者は最後にこう述べている。 「彼らは『世界の向こう側』に、何を見ているのだろう?」  読んで面白いと感じた方は、一歩進んで同じテーマでの少し固い本、一柳広孝・編著『オカルトの帝国』『オカルトの惑星』をおすすめします。
オカルトの帝国―1970年代の日本を読むオカルトの帝国―1970年代の日本を読む (2006/11) 一柳 廣孝 商品詳細を見る
オカルトの惑星―1980年代、もう一つの世界地図オカルトの惑星―1980年代、もう一つの世界地図 (2009/02) 吉田 司雄 商品詳細を見る