読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

蓮の国(LotusLand)

近衛秀一の読書感想文が中心のブログ。

書評『御家の狗』

読書(歴史小説)
御家の狗 (講談社文庫)御家の狗 (講談社文庫) (2005/07) 岳 宏一郎 商品詳細を見る
『御家の狗』(岳宏一郎、講談社文庫)読了。  戦国の世が終わり江戸時代が始まる。だが、「戦い」はまだ終わってはいなかった。親藩、譜代、外様…様々な立場の大名たちが織りなす暗闘…権力争いが始まったのだ。本小説は、徳川家の家臣の中でも、大久保長安本多正信、そして本多正純の生涯を描いた短篇集である。詳細は以下のとおり。  『胡獱』  元武田家家臣で能役者だったとも伝わる、大久保石見守長安。彼は一級の山師で、狙ったところを掘れば黄金が出るという、不思議な才能の持ち主であった。それゆえに家康に愛され、大久保性を賜るに至るが、だんだん寵愛は猜疑心に変わっていく…  大久保長安は謎の多い人物で、そのせいか山田風太郎などの伝奇小説に悪役としてしょっちゅう登場するのだが、この話でなんとなく輪郭が分かった。そういえば、今川氏真と修道関係だったという本を昔読んだけど、なんだったっけか。  『鷹狩り』  家康が「友」と呼んだ、徳川家の謀臣・本田佐渡守正信。鷹匠から成り上がった彼の、ある人物に対しての凄まじいまでの怨念を描く。古今東西、「悪巧み」をするものは嫌われるが、この本多正信も周囲から奸臣呼ばわりされて評判が悪かったそうである。嘘や言いがかりをつけて相手を追い落とすやつより、負けるとわかっていても戦うやつのほうが人気が高いのは、いつの世も同じか。  司馬遼太郎関ヶ原』での彼の謀略は凄まじい。  『花ざかりの杏の木』  正信の子・上野介正純は、正信に似て政治と謀略に長けていた。諸国大名の改易政策に辣腕を振るうが、次第に二代将軍・秀忠から疎まれ始める…。  上ニ編と違い、そこはかとなく哀愁が漂う悲しい一編。正純は改易、秋田に流罪となるのだが、その後の息子との会話が涙を誘う。  以上、簡単にレビューしてみた。  しかしながら、歴史大好きだぜ!と言う人にもすすめづらい。文章が少し硬くて読みにくいからだろうか。ガチの歴史好きで、難しい表現もバッチコイ、という人にはおすすめ。