蓮の国(LotusLand)

近衛秀一の読書感想文が中心のブログ。

映画評『ソナチネ』

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 1993年の映画。  あらすじ。友好関係にある組織の助っ人のため、沖縄へ向かったヤクザの村川(ビートたけし)と仲間たち。そこで彼らは、この沖縄行きが自分たちを始末するための罠だったことを知る。次々に殺されていく仲間たち。そんな中村川は浜辺で、ロシアンルーレットや相撲に興じるのだった…。  私が見た北野武の映画は、「BROTHER」が初見で本作は2回目。  作品に横たわるのは、非常さであり虚無感・無常感。それが何ともやりきれない気分になる。大切な仲間の「命」があっという間に消えていく中で、主人公は無表情のままだ。  冒頭で、村川がショバ代を払わない雀荘の店長を誘拐し、クレーンで海に沈めて溺死させる凄惨なシーンがある。店長は命乞いをするのだが、村川はそれに答えず、そして罵声も浴びせること無く、「2分ぐらいもつかな」などと側近と話し合っている。このとき、最初2分ほど沈めたら店長はまだ生きていて、次に3分沈めたら死んでいた、という、妙に間延びしたような場面が映る。普通の監督ならすぐ沈めてしまうのだろうけど、北野武はなぜか「2分沈めたら死ななかった」という、妙な臨場感を味付けに使っている。  自分たちには未開の土地である沖縄で、次々と部下を殺され、村川の仲間たちは足元からばらばらと崩れていく。事務所に爆弾をしかけられ、スナックに入ったら敵組織が銃撃してくる。敵の襲撃を恐れて、村川たちは僅かな仲間を連れて海辺にある小さな家に逃げ込む。  そこで、彼らはなぜか遊び始めるのだ。ロシアンルーレット、相撲、ロケット花火。まるで、残された僅かな時間を愛おしむかのように。  しかし、その刹那、唐突に終わりがやって来る…。 BGMは久石譲が担当。静謐さと狂気をふつふつと感じさせるぴったりの音楽だと思う。  映画の流れは一本調子なので、あらすじを読むとなんとなく結末が見えてしまうのだけど、これでもか、これでもか、と叩きつけてくるような、無常感・虚無感、そして静謐さが癖になってしまう。