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蓮の国(LotusLand)

近衛秀一の読書感想文が中心のブログ。

書評『捏造される歴史』

捏造される歴史捏造される歴史 (2012/01/25) ロナルド・H. フリッツェ 商品詳細を見る
 『捏造される歴史』(ロナルド・H・フリッツェ、原書房)読了。  超古代史や偽史など、歴史にまつわる怪しい話をいくつかとりあげ、それがどこから来てどのように発展していったかを記した本。専門的な記述が多く分厚いため、すこしずつ読んでいたのだが、読むのに3ヶ月もかかってしまった。  歴史学者や考古学者が明確に否定しているのに、なぜか人々の心をくすぐって流布され、世に蔓延る偽史アトランティス、アメリカ大陸をめぐる紆余曲折の奇説、白人・黒人両人種の奇っ怪な陰謀論、ヴェリコフスキー、エーリッヒ・フォン・デニケン、ゼカリア・シッチン、そして記憶に新しいグラハム・ハンコックなどの偽史歴史家たち、そしてちょっと専門的でマイナーな「黒いアテナ」論争。  私が一番興味深く読んだのは、『クリスチャン・アイデンティティー』と『ネーション・オブ・イスラム』というふたつの組織だ。前者は白人による天地創造説を、後者は黒人による天地創造説を唱え、互いに「我々は神によって想像された」「他の人種は泥で作られた」「悪魔によって創造された」と主張。KKKとかナチスとか、そういう選民思想が「偽史」に深く関わってきて、おどろおどろしい天地創造説を構成している。  そういえば、日本にも良く似た説があるのだが…  笑えないのは、お互いに選民思想がいき過ぎて、殺人事件やテロ事件を引き起こしていることだ。  という感じで、偽史偽史として、その背後にあるものや、なぜこんなデタラメな歴史が生まれたのか、というが気になる方にはおすすめです。